HOME > 実績・事例集 > マンション管理事例 > 長期修繕計画書の見直し
一般的には、新築時から5年目までは、負担軽減を考え修繕積立金はある程度抑えられた金額に設定されています。マンションご購入時の長期修繕計画書に、6年目以降の修繕積立金の負担金増額についても記載されているケースでは、これまでの積立額、経済情勢や建物の劣化状況を含めて再度現実的な試算を行います。
その想定された大規模修繕工事費用にもとづき、今後どのようにこの資金計画を立てていくか、住民の皆様の充分な理解を得たうえで、修繕積立金の増額が、管理組合様の大きな課題になります。
当社が管理する大規模なマンション管理組合様でも、築後8年を経過し、この課題を抱えておられました。一般的に、大規模修繕工事はおおよそ12年目、24年目を目処に行われます。このマンションでは、初回(12年目)の大規模修繕工事を実施する費用は問題なく積み立てられていましたが、2回目(24年目)の大規模修繕工事を実施するには、明らかに資金が不足してしまう状況でした。
まだ築後8年であるがゆえに、その時点から遠い将来の修繕工事のために修繕積立金をアップすることには、抵抗を感じる住民の方々もおられます。しかし、皆様の大切な財産を維持保全することなどを考えると、この計画は決して先送りしてはいけない課題であることも事実です。
ただ、修繕積立金をアップしなければいけないことは必至でも、その方法には正解はありません。できるだけ多くの住民の皆さまのご理解をいただけるような方法を模索し、ご提案を行っていくのが私たちの仕事です。
当初、A管理組合様でも(1)段階的に値上げする、(2)将来は値上げせずに一括で値上げする、と意見が分かれました。当社では、これまでの管理実績のなかから、物件規模やお住まいになられている皆様方の年齢層が近い管理組合様で、修繕積立金の値上げを実施したケースを参考に、数案の資金計画をご提示して、繰り返し議論を行い、A管理組合様のご了承を得ることができました。
A管理組合理事会様は、修繕積立金の値上げに関する方針を固められたのち、住民の皆様に対するご説明、できるだけ多くの理解を得るための住民総会開催の準備に入られます。そのためのサポートを行うことも当社の重要な役割です。
住民総会は、基本的に年一回。この機会に議決がなされなければ、次年度に決定を持ち越すことになります。先述したように、簡単に結論が出る課題ではないだけに、数年をかけて議決にいたるということも少なくはありません。実際、A管理組合様でもこの件に関する話し合いは4回目になっていました。
A管理組合理事会様の「これ以上この課題を先延ばししてはいけない」という強いご意志に応えるため、住民総会に先立ち、当社は住民の皆さまからの意見をとりまとめ、今回の住民総会で議決を行うための入念な準備を進めてサポートさせていただきました。
結果、A管理組合理事会様の方針に対立する意見はいくつか出たものの、おおよその理解を住民の皆様から得ることができ、16年後2回目の大規模修繕工事計画に向けて積立金の値上げに関する資金計画も議決されました。これは、厳しい状況ではあったものの、A管理組合様の理事長をはじめとする理事の方々の強いご意思があったからこそ到達できた結果でした。
住民総会後、理事長をはじめとする理事の方々から
「やっと息がつける気がしますよ」
とのお言葉をいただき、当社もあらためて「サポートさせていただくことの大切さ」を感じました。
当社は、住民の方々を真摯にサポートし続けることで住民の皆様の大切な資産を維持することができると考えています。管理組合の皆様から末永くご支持をいただくために、「真摯に」サポートし「続ける」ことを行って参ります。